日本語の変革
内容
井上ひさしが日本語を語る
感想
今から何十年しか経っていないのに、日本語がこんなに
変化してきたのかと思うとすごい。
漢字が易しくする運動が起こったり、日本語すら危うくなったり
今では考えられないことが起こっていたのでびっくりした。
確かに漢字が読めないことも沢山ある。旧字体の漢字など
ほとんど読めず、調べながら読まざる負えない。
だから読むスピードが遅くなる。テンポよく読みたい時などは
イラっとするが、ある程度旧字体の漢字を読めるようになると
イラっとすることもなくなる。学び、覚えればそれも苦ではなくなる。
”漢字のなくなる日”の中で日本から漢字がなくなったらどうなるのかが
書いてある。意味の取り違えや意味が分からなくなることも多くなり、
「分け書き」が必要になってくる。改良すれば、「すっきり」したものでは
なくなるとある。
文章などは漢字がないとどのことを言っているのだろうかと探らなければならないが
漢字で書かれているとすぐわかる。今まで日本語から漢字がなくなることは
考えたことがなかったが、もしなくなったら大変な事になる。
たぶん一生読書はしなくなりそうだ。
日本語が危機の時もあったそうだ。”漢字とローマ字”の中で書かれている。
”敗戦のあくる年の四月、アメリカの教育使節団は大略次の如き報告書を発表した。
日本の国字は学問の恐るべき障害となっている。日本の国字は大部分が
漢字で書かれているが、この漢字を覚えることが、生徒にとって重すぎる負担に、
なっていることはほとんどすべての学者の一致した意見である。そこでその解決法だが、
現在、三十余の日本の諸団体によって討議されており、その討議は大別すれば、
①漢字の制限。
②漢字の全廃、カナの全面的採用。
③漢字とカナの全廃、ローマ字の採用。
の三つの方向で行われつつある。”
戦後すぐとは言え、日本語も侵略されるかもしれなかった。
ローマ字だけで意味が分かるような文章が作れるのか、読めるのか。
なんか味気ないような文章になりそうだ。それならもう思い切って
英語が日本の公用語にしてしまえばいいような気がするが。
でも日本語でしか表現できない事はどうするのか。
色々考えたが結局日本語はなくしてはいけないという結論に辿りつく。
42年ほど前の本だが、その当時の風刺が効いてて、面白かった。
子供には読ませられない箇所はあったが。