猫はわかっている

やっぱり猫はかわいい

内容
『世界を取り戻す』女か猫か』『50万の猫と7センチ』
『双胎の爪』『名前がありすぎる』『猫とビデオテープ』
『幸せなシモベ』短篇集

感想
『世界を取り戻す』
やっぱり猫を看取るのはつらい。あと数日、数時間だけでも一緒に
いるだけでも私は嫌だ。飼い猫が亡くなったときの思いはもう
したくない。それだけ気持ちの耐久性がない。
昔飼っていた猫の代わりに何とかしてあげたいと思う主人公の
気持ちはわからなくはないがそれで無事生き返るなんてことは
ない。主人公の自己満足しかない。

『女か猫か』
有栖川有栖の作品を読むとなぜかわくわくしてしまう。
殺人事件ではないのに、ただ猫にほほをひっかかれただけなのに
こんなにわくわくしてしまうのはなぜだろう。
名前から猫に関係があるとわかるとなるほどと思うし、
答えがあいまいでも納得してしまう。
これはやっぱりこの作家が好きだからどうしても贔屓してしまうのだろう。
こうして読む本が偏ってしまう。しょうがないか。

『50万の猫と7センチ』
この短篇集でこの話が一番好きかも。人間関係もシンプルで
猫が主人公。それも猫が野犬に襲われるという場面があるが
(この猫は助かった)私が昔飼っていた猫も野犬に襲われて亡くなった。
そういうところにも親近感が沸いた。ニャアが大けがをしたのは
つらかったけど、その他はほのぼのしていい。
短篇集って読んだことのない作家も読めて、自分好みなら
次はこの作家の本を読みたいと思える。そういう作品だった。

『双胎の爪』
イヤミスに近かった。佐穂が拾ってきた猫をいじめているのは
むかむかした。計算ずくで人の気持ちを手玉に取るような
女は嫌いだ。だからといって亡くなったのはいい気味とは
思わない。子供が二人もいて一応は母親なんだから悲しむ人は
いる。猫はそうでもなかったかもしれないが。
真相はわからないが後味の悪い作品だった。

『名前がありすぎる』
よくある話なのか。でも設定はどこにでもある話かも。
面接官を追い詰めるのも、その企業をスッパリ切り捨てるのも
かっこよすぎてよかった。元々ガールズバーは向いてなかった。
違う仕事を探したほうがいい。

『猫とビデオテープ』
男と女の友情って経験したことがない。
でも男と女の友情ってあるんだよなと思わせる。
それが恋愛に発展することもきっとある。
ささいなきっかけがあるかないか。伊部と権田はささいな
きっかけを失ったから恋愛に発展しなかった。
権田の奥さんがねずみ講まがいなことを伊部にしようと
してたのに伊部はそれを受け入れようとしてたのは
どういう心境なんだろう。お金だけじゃない何かが
あったのか。結局ねずみ講まがいなことに巻き込まれなくて
よかったけど。

『幸せなシモベ』
一度猫を預かってしまうともう離れるなんてできない。
その気持ち、よくわかる。だって本当に離れられない。
かわいすぎていつまでも手元に置きたい。スマホの
写真だって全部猫になってしまうのもよくわかる。
ほとんど共感しかない。猫を飼ったらそうなるんだ。
タイトル通り『幸せなシモベ』になってしまう。

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