われは熊楠

とことん極める

南方熊楠の名前は知っていたけど語学が堪能で
天才肌ということしか知らなかった。
表面上はすごい人だったが、実家に養ってもらっている
どうしようもない人、幼いときから自分の中から
声が聞こえて(鬨の声))、癇癪持ちだし、
今だったら発達障害の診断がついていたのかもしれない。
だからこそ集中力が持続するし、他には何も目に見えない。
もしかしててんかんなのかもという場面もあった。
熊楠は自分自身が精神の病になってしまうのではないか
という恐怖もあった。

私が知っている南方熊楠とはぎょろっとした目で
身体も大きくて体も心も何の心配もなく健康優良児
というイメージがあったが、そうではなかった。
将来の悩みも人とも摩擦も経済的なことも
人並みに悩んでいた。

”己は何者じゃ”という答えを探すために研究に没頭する。
自分が好きなことをとことん極める。
自分自身は苦ではないが他の人から見れば
それはすごいことをしているのだと思う。
私から見れば好きなことをとことん極めて、のめり込めるのは
ものすごく羨ましい。寝食も忘れて打ち込めるものが
私は今までなかった。本を読んだり、音楽を聴いたりするのは
趣味程度だ。好きなことを好きなだけ没頭する人を羨ましいし
尊敬もする。それが仕事に結びつけばなおさらいい。

死に際まで研究に没頭してそれを理解してくれる家族がいるのは
何ものにも代えがたい。
熊楠は癇癪で取り返しのつかないことがあったが
一生を通して人間関係は恵まれていたのではないか。
南方熊楠を世に出したのは自身の努力もあったが
それを支えた友人や家族があってからこそだったのでは。

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