「死刑について」

揺れ動く気持ち

内容
死刑制度についてさまざまな側面から考える。

感想
この本は薄いのに、読むたびに考えされられて、思考が死刑制度を廃止した
ほうがよいのか、存置したほうがよいのかずっと揺れ動いていて、なかなか
ページが思うように進まなかった。テーマも重くて今、この本を読んで
よかったのかと少し後悔した。

死刑制度に対してこの本を読むまで深く考えてこなかった。
日本に死刑制度があることくらいは知っていたが、他の国の死刑が
事実上廃止などで(2020年12月31日現在)144か国になっていることは
知らなかった。
死刑制度があるのは55か国だが、その中に日本も入っている。
 
死刑制度をただ単に被害者の気持ちだけで考えるのではなく、
人権、法律、宗教、警察の捜査(冤罪)など細かい視点から
死刑制度を考えている。
私や私の家族は幸い犯罪に関わったことがないので、死刑制度を深く考える機会が
なかった。(これからも関わりたくない)
もし加害者でも被害者でも犯罪にかかわったらもっと深く考えることが
あったと思う。この作者が書いていることはわかりすぎるくらいわかる。特に
”そもそも死刑について、死という恐怖に直面させることによって、加害者に
深い反省や悔悛をさせるという考え方に、僕は懐疑的です。”
この文章に賛成で死刑制度でなくともほかの方法があるのでは?思ってしまう。
心の奥底では死刑制度は廃止したほうが良いと思っているが被害者や
被害者の残された人たちが死刑を望むと言えば、その感情を汲むことしか
できない。
今まで廃止のほうに傾いていた感情があっという間に裏返されて、死刑制度の
存置がいいのではと、また揺れ動いてしまう。

本の中にも出ていたように人権について、もっと学ばなければならない。
感情論だけでどうしても左右されてしまう。
”日本における人権教育の失敗”の中に書かれていたが確かに私たちの時は他の人に共感できるか否かで考えてしまうという教育を受けてきた。きちんとした人権教育がなされなかったことも大きな問題だ。
”(前略)個人として有する当然の権利としての人権について、歴史的に、概念的に説明するということはほとんどありませんでした。”
このことを人権教育に入れていけば、感情論だけの議論ではなくなるのではないだろうか。

死刑制度については本当に難しいと思う。読むごとにずっと感情が揺れ動いて、
結局はどっちつかずになっている。死刑を行うということは正当な名の付く殺人と
思うのか。それとも被害者や被害者遺族の気持ちに対しての加害者への正当な罰則なのか。
最高刑が死刑ではなく、無期懲役ならどうなのか。自分ならばどう考えて、どう行動していかなければならないのか。よくよく考えなければならないと思う。

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