他人事ではない
内容
41歳で脳梗塞になったルポライターが、自身が脳梗塞になって
どういうことが起きたのか。さすがルポライターらしく
詳細に自分自身にインタビューし、書き記した本。
感想
脳梗塞になったらどうなるのか。テレビや本でしか知識はないが
片側が麻痺して動かないとか、言語に障害が残る。最悪の場合は
死んでしまう。その程度の知識しかなかった。
41歳で脳梗塞でなって身体への後遺症は軽かったが、いくつかの
高次脳機能障害が残った。高次脳機能障害とは何ぞやと思って読んでみると
例えば記憶障害、注意障害、遂行機能障害、認知障害などだ。
”(前略)僕は脳梗塞の結果として高次脳となりましたが、その当事者認識は、
先天性・後天的問わず様々な原因で脳に機能障害を持つ人々と、大きく符合する
部分があるようなのです。自身の中で障害が見えてくるにしたがって、僕は多くの
既視感を感じることになりました。”
発達障害やうつ病など精神疾患・情緒障害を抱えた人はこの高次脳機能障害と
似たような症状があるというのが納得するのと驚きと同時にあった。
ということはリハビリで改善できる部分も大きい。そういう人たちのために
リハビリを使ってもよいのではないのかという意見には大賛成だ。
今、どこまで若者や子供にそういう支援をしているのかわからないがもっと
その支援を拡大してもいいと思う。ただリハビリの専門の先生が少ないことを
本書も指摘している。そういうリハビリの先生がもっと増えれば支援の届かない
若者や子供にも届くから県や国もリハビリの先生の育成にも力を入れてほしい。
”第6章 感情が暴走して止まらない”これは私も更年期になってから
感情が暴走して感情失禁になることがよくある。昔からよく感情があふれて
よく泣くことがあった。それが最近特になにげないことでも泣くことが出てきた。
例えば子供の担任の先生と話していて涙が止まらなかったり、ドラマを見ていて
泣くところでもないのに泣いてしまったり感情のコントロールができなくなった。
多分この感覚に近いのだろうと思った。私の場合更年期もあるとは思うが、
脳が段々老化してしているのだろうなという感じもある。
身体も精神も年を取っているのだから、老化は避けようがない。今は身体も
精神も大丈夫だがいつ何時なにが起こるかわからない年齢になってきた。
若い頃は自分が老化すること想像つかなかったが、今の自分なら足も腰も
膝も弱ってきて、精神的にも感情のコントロールがつかなくなるということは
容易に想像がつく年齢になってきた。だからなおさら「脳が壊れた」という本を
手に取ったのだろうと思う。脳梗塞になったらどんなことがあって、人それぞれだが
どんな症状になるのか少しでも知っているのと、知らないのでは天と地の差ほど
ある。できれば脳梗塞や脳血栓などにはなりたくはない。なりたくはないけど
どんなに予防していても病気になってしまうことはある。病気になったことを
責めるではなくて、(病気になったら結局攻めてしまうのだが)
そこからどういう風に自分なりに回復するかになるべくならそちらに
目を向けたいと思う。いざ脳梗塞や脳血栓になってしまったら、今書いたことも忘れて
感情の大暴走してしまって、周りに当たりまくりそうだが。