方舟を燃やす

疑うことなく、信じるのか

内容
飛馬と不二子それぞれの物語

感想
飛馬の母親が自殺したのは飛馬のせいじゃない。
小学生だったら母親が急に入院して心細くて
泣くこともあるだろう。それを変に母親が
勘ぐって自分が病気でもうすぐ死ぬからと
自殺するのは母親のメンタルの弱さだけだと思う。
他人からみればそう思うけど飛馬本人にとっては
心に傷ができるぐらいどうしようもないことだった。

どちらかというと不二子の方が感情を入れやすかった。
不二子が結婚して子育てしてという境遇が自分が経験してきて
すべて共感するわけではないけれどうなずくことが多かった。
例えばワクチン接種をどうするか。
私の子供がポリオワクチンを受ける数日前にテレビで
ポリオワクチンを打った副作用で後遺症が残ったと
観たときにはどうしようか迷った。でもポリオワクチンを
受けても受けなくてもポリオに罹るリスクはある。
それなら打った方がいいと判断して打った。
不二子は湖都にワクチンを打たない選択をして湖都は
大変な目にあった。でも外国に行くのならワクチンの接種って
確認しないもの?と思った。
おまけに湖都は父親に無理やり最低限のワクチンを打たれたせいで
不妊になったと思っているが、医学知識はないが私は麻しんに罹り、
重篤な症状になったせいだと思った。

不二子の玄米などの自然食を徹底的に入れるのは私には無理だ。
粗食になれば健康には良いかもしれないけど
盲信的にはできない。盲信的になる不二子はちょっと危ういようで
宗教とかにもはまりやすいのかなと思ったけれどそうでもない。
でも後半不二子の気持ちが吐き出された時、こんな思いが
あったのか、死ぬまで自分を信じることは出来なかったのか。

角田光代の本を初めて読んだ。すごく丁寧に自分の伝えたいことを
書かれている。どこで大事件が起こるのだろうとドキドキしていたが
小事件は起こるものの大事件は起こらず淡々と物語が進んでいく。
こういう小説の書き方もあるんだなと感心した。

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