「老い蜂」

高齢者は弱者だとは思ってはいけない

内容
ストーカーがキーワードとなり、過去の清算と、現在の事件を
解決する。

感想
作者の本を読むのは初めてだ。いつも初めての作者の本を読む時は
どきどきしている。知っている作者なら安定しているが、初めての
文章の読みやすさ、読みにくさ、すぐ想像できるか出来ないか
起伏があるかないかなどがあって、どきどきする。
でもこの作者は自分が思っている以上に読みやすくて、
ほとんど一気読みに近いぐらい、あっという間に読んでしまった。

高齢者だというと弱者のイメージがあって、困っているお年寄りには
手助けしなくてはいけないとつい思い込んでしまう。
このギャップが、高齢者がまさかストーカーするとは(それもかなりしつこい)
思わない。そこの目の付け所もすごいと思ったし、高齢者のストーキングにも
意味があって、そこに推理小説も盛り込まれている。二重三重にも
楽しめて、これは一気読みするわなと納得した。

若い女性がストーカーに追い詰められていく描写が、リアル怖かった。
警察官や男友達、家族にもお年寄りなんだから大丈夫と言われ、
誰にも助けられずにいる若い女性が不憫でならなかった。
特に丹下薫子がドアポストの投函口の封筒を引き抜いたところがひょえーと
思うほど、怖かった。いくら高齢者とはいえ、こんなことしたら
あかんやろ(その前から数々の嫌がらせは受けてるのだが)。
”投函口の向こうに、皺ばんだ口と乱杭歯が見えた。”
そう書いてあったがその時ふっと乱杭歯だったら、自分の歯なのかな?
やっぱり歯が丈夫だったら、体も元気なんだなと変なことを考えてしまった。

またこの作者の本を読みたいと思った。映画になった『死刑にいたる病』も
面白そうだ。映画は観てないけれど、やっぱり原作のほうから読みたい。
映画だとどうしても俳優さんのイメージが強くなってしまって、
原作がぼやけてしまう気がする。逆に原作とかけ離れていると(アレンジしすぎて)
”思ってたのと違う”になってしまってそれも悲しい。

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