一流の詐欺師にはなれない
世間一般で詐欺師と言えば、こそ泥程度だ。
一般市民から騙して少しのお金を取るだけ、私も
そう思っていた。
だが一流の詐欺師はそうではなかった。
教養も身なりも料理さえも一流。だから考えることは
考えつくし、鉄壁の守りをする。だからぼろは
出さない。ぼろを出した途端お縄になるからだ。
当然大金持ちを騙すためには名声や地位の高い人を相手にするのだから
それなりの知識は必要になるが。
一流の詐欺師は伏見藍だ。元から自頭がいいのだが
そこに拍車をかけたのが一人の人との出会いだった。
逆にみちるは藍とは正反対だ。私たちが考えるような
底辺を彷徨っているような詐欺師。
なぜ藍はみちるにそんなに心を開いたのだろう?同情?
それとも昔の自分を見ているような、そして詐欺を働いた時の
無関係な人たちに罪滅ぼし?
心を開けばリスクが大きくなるのに。
私でもみちるのそばにはいない。詐欺師としては
最悪だから一緒に奈落の底に行くのは目に見えている。
私がもし万が一詐欺師になっても満ちる程度の底辺の
詐欺師だろう。気持ちがもろに表になるし優雅な振る舞いも
教養もない。たぶん詐欺師になるセンスもないのではなかろうか。
捕まるのは時間の問題だ。
みちるは両親のことをわかっていたのに両親を殺したと
思われる喜和子に復讐することに命を懸けている。
でも両親のやったことがわかっていたのになぜ喜和子に
これだけの執念で復讐するのか私にはわからない。
今までみちるが単純な気持ちの起伏や行動をしていたのに
なぜだろう。みちるの考えていることが最後にはますます
わからなくなる。人の気持ちってそんなに変わるもの?
それとも本当は半分喜和子を許していたのか?
安定の川瀬七緒作品。面白かった。次は松浦から詐欺するのかな。
続編求む。