ともぐい

陽子に全部持っていかれた

内容
熊爪は山の中で犬一匹と狩猟をして
生計を立てている。

感想
『ともぐい』と題名にあるから、熊との
共存を主題にしたものだと思っていた。
つい最近まで熊が民家に入ったり人を傷つけてまで食べ物を
奪い、大きな問題になっている。
人間と他の動物の共存共栄するにはどうすれば
いいのかこの本にヒントがあるかもと思って
読んでいたら(前半はあるかもしれないが)
後半はまったく違った物語になった。

陽子は本当に聡い子だと思う。
実の父親にされたことも目が見えなくなったように
見せかけることも熊爪の思いもすべてわかっていた。
それでも飄々と掴みどころがないように
見せかけてる。熊爪だけではなく読者までが
陽子にしてやられた。

前半の赤毛の戦いも超絶面白かったが
熊爪の死にきれなかった思いも描写がすごかった。
熊爪のように生か死かしかない生き方しかできない者は
倦んでしまうのかもしれない。

さすがは直木賞を受賞した作品だ。
凄く面白かった。次の作品も読みたい。

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