「反社会品」

モラルとは何か

内容
「人間の屑」「無脳児はバラ色の夢を見るのか?」「占領」
「不義の子」「命の重さ」「のぞき穴」「老人の愉しみ」
5つの短編

感想
「人間の屑」
小説ながらこんなことはありえない。実力主義で結果が出て、
全体の経済が上がるようになればいいけど、現実はそんなことはない。
昔のようにがむしゃらに仕事をするのではなく、もっと効率的にするように
シフトチェンジしている。と思っていたら、二重三重の世界で
どれがレンタルのDVDか夢か現実か。読み進めるたびに主人公は
現実にはどれなのか。最後に主人公の今いる場所がわかる。
そしてその心情も。

「無脳児はバラ色の夢を見るのか?」
新型の「出生前診断」でロート症(架空の病気で頭蓋骨は形成されるが中の脳が
ほとんど作られない)の疑いがあると倉木真知子は医師から言われた。
真知子はわが子に障害があると思い、だんだん真知子自身や家族や真知子の周りが
様変わりしてしまう。
今の「出生前診断」といえば染色体異常で、ダウン症などがわかる。
私は高齢出産だったが「出生前診断」はしなかった。
高齢出産だったし、もしかしたらこれが最後の妊娠かもしれないと思うと
「出生前診断」をしても、しなくても出産した。
真知子のように悩みに悩んでストレスになってしまうのもよくわかる。
この感情は妊娠したものにしかわからないのかもしれない。

「占領」
いくら福祉がよくなろうとも、こんな世界は嫌だ。でも、もしかしたら
現実にこの世界が近づいて来ているのではないか。
最近も日本の出生率低下というニュースを聞いた。高齢者は増え、
子供が少なくなるのなら、私が高齢者になるころには、この小説のような
世界でなくても、それに近い世界になると思うと子供の世代がかわいそうになる。
そうなる前になんとか対策をして欲しい。

「不義の子」
医師の岩倉右幸のように知識があるから、妻のりゅう子を疑う。
左幸が登場してきたことによって、左幸とりゅう子を疑うのなら分かるが
排卵日が受精したなど、確実ではないことに浮気を疑うのは、
やっぱり医師だからなのかなと思った。でも、りゅう子が一枚も二枚も
上手だったことは言うまでもない。岩倉右幸はやっぱりお坊ちゃんだ。

「命の重さ」
骨髄バンクのドナーの登録をする、しないで健介自身、家族、その周りの
人たちの関係が壊れていく。
骨髄バンクのドナー登録って、体から骨髄を採取するとなると怖い。
それが人のためになることでもいざ自分の身に降りかかったら。
私も家族が骨髄バンクのドナーになると言ったら、反対するかもしれない。

「のぞき穴」
この主人公は完全にアウトだ。自分のエゴしかない。
不妊治療で授かった子がもし夫ではなく、不妊治療の医師の子供だったら、
その家族はどう思うのだろうか。遺伝子が違えば、顔も似ていない。
それで気づきはしないだろうか。子供には罪はない。罪があるのは
この主人公の医師だ。不妊治療をした家族のことを思ったら、この医師は
許せない。

「老人の愉しみ」
テレパシーを信じてないが、あったら便利だなと思う。この
柳原洋右のように悪口を言うためではない。なかなか言葉では
伝えたりないことでも、テレパシーがあったら、すぐに相手に
通じて理解してくれる。そうなったら、会話もスムーズにいくのに。
今の高齢者は柳原洋右のように、生活にあまりお金をかけないと思う。
世代だからかはわからないが、自分のためにはお金をかけない。
子供や孫にお金をかける人が多い気がする。子供や孫にとっては
ありがたいけれど、やっぱり自分で稼いだお金は子供や孫に使うのではなく
自分自身のために使ってほしい。柳原洋右のように。

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