「刑事弁護任人」

秋の夜長にお勧めの本

内容
持月凛子は現職の警察官垂水涼香の弁護をすることになった。
凛子は殺人事件は初めてで、垂水の家族からも複数弁護士を望むことから
同僚の西大輔とともに弁護することになるのだが、、、。

感想(ネタばれあり)
薬丸岳の本は何冊か読んだことがあるがどれも外れがなく、今回も
刑事弁護人という視点で事件を解明していくのが面白かった。
新しい証拠や人間関係が出てきたときに一緒に解き明かして
いくような(弁護人としての証拠を積み上げて裁判を有利に持っていく)
感覚だ。そこが推理小説の醍醐味だと思う。

垂水涼香の子供(響)が急性硬膜下血腫で亡くなっていたことがわかった。
急性硬膜下血腫は内側から自然になるものではなく外傷などが原因でなることが
あることはわかっている。垂水涼香と旦那は逮捕されていない。そういうことから
他人が響に暴力などを振るったことによって亡くなった。そこからなぜ現職の警察官という立場で加納を殺してしまったのか糸口が見つかりそうだ。故意なのかそれとも
偶発的に起こってしまったのか。裁判によってどう裁かれていくのか。

持月凛子と西大輔の個々の背景も推理小説に色をそえてそれぞれの
キャラクターが際立ってよかった。西大輔が凛子に質問するシーンが印象に残っている。

西「もし、お母さんが殺されたら、おまえはその犯人を弁護できるか?」
凛子「父は以前こんなことを言っていました。被疑者や被告人には弁護人以外に誰も
味方はいない、と。罪を犯すまでに追い詰められた人のほとんどは、信頼を寄せられる家族や知人はいない。彼ら彼女らの話を聞いてあげられるのは弁護人しかいないのだと」

作者がこの本の中で一番言いたいのは凛子のこのセリフではないだろうか。
必ず被告人を弁護する立場にいるの刑事弁護人は被害者の遺族や友人はなぜ
許されるはずもない被告人を弁護するか。このセリフを読めば少しは理解できるのではないだろうか。

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