ただただ恐ろしい
内容
死刑囚が死刑までの日々の葛藤
感想
死刑が決まり、死刑を待つ間の色々な葛藤があり、死刑囚自身の思いが分かり、
最後の章で死刑になる時、恐怖で背筋が凍えるほどだ。本を読んでいて、ホラーでも
ないのにこんなにも恐怖を感じることはなかった。
死刑という刑罰を感情論や宗教論、その他諸々を排除して刑罰という
だけで考えてみると、死刑というのは本当に正しいことなのかと考えてしまう。
犯罪者は裁判で死刑とされれば、無条件に合法的に殺される。
ギロチンで死刑にされるのと今の日本のように絞首刑にされるのと
何が違うのだろう。残虐性のあるなしに関わらず、人を殺す行為は同じではないか。
死刑囚自身も死刑を待つ間、この本の死刑囚と同じように恐怖を感じるのではないか。
死刑囚は死刑になるようなことをした。だから”目には目を歯には歯を”と報復する考えも分からなくはない。だが人間が合法的に人間を殺めることが許されるとは思わない。
死刑ではなく、無期懲役が最高刑でもいいのではないか。なぜ死刑でないといけないのか。
私は前に「死刑について」の感想の中で死刑制度を存置するか廃止するか揺れ動いていると
書いたが、この本を読んでやはり廃止した方がいいのではないかと思った。
死刑囚がこんな恐怖を感じることをやってはいけない。
被害者や被害者遺族になれば、そんなことは言ってられないと思う。
被害者や被害者遺族になれば混乱し、錯乱し、冷静な判断が出来なくなる。
だが今、冷静な判断がつく時に考えた末にやはり死刑は廃止にしたほうがよい。
死刑についてはいろいろな意見があると思う。それを他の人に自分の考えを強制しようとか
とは思っていない。ただ、今の自分の意見は死刑廃止が良い。