手を差し伸べる人はいる
漫才師「カサブランカ」のチョーコとハルミが関わった
(勝手に関わったのが多いかもしれない)物語。
私が好きなのは『道頓堀-ズ・エンジェル』と『黒門市場のタコ』。
『道頓堀-ズ・エンジェル』は諸事情を抱えた喜佐と都とサエとその彼氏が
最後にはカフェ経営をしようという話まで持ち上がり
ほっと温かい気持ちになるような物語。
全く見ず知らずの年齢もバラバラの人が自分の抱えている
悩みを打ち明け合い(見ず知らずだからこそかもしれない)
自分の気持ちに決着をつけるのいい。泣いたり笑ったり
数時間の間にみんながいろいろな表情をみせるのが
大阪らしい。
こんなきっかけで年齢がバラバラの友達が出来ていくのだろうなと
思うと羨ましい。
『黒門市場のタコ』は母親の連れ子翼は父親から過度の保護を
受けていて、それがだんだんストレスになっている。
母親を亡くしてから父親と二人で母親が作っていた
明石焼きを作るのが日曜日の恒例となっている。だが年頃の翼はそれも窮屈になっている。
父親が嫌いなわけじゃないけれど、休みなれば一人で出歩きたい時も
あるだろうが父親に悪いと思って言えない。
本当の親子のようにならなくてはと思っているのが
余計に父と翼を苦しめているのではないのかと思う。
でも翼が思い切って父親から巣立つのはよかった。
だからと言って父親がこれまでと同じように手助けしないわけじゃない。
きっと父親も翼の扱い方がわからなかっただけだ。
互いに思いやっているからどうすればいいかわからないだけ。
本当の親子でもそうだから、血のつながりだけではない。
これを読んでいると明石焼きが食べたくなった。
自分の作るのは無理だから、明石に食べに行きたくなった。