「特殊清掃人」

放置すれば危険物

内容
部屋の中で亡くなり数日間、放置されて人の
思いを紐解く。

感想
特殊清掃の存在は知っていたが、この本を読んでよりリアルに
仕事内容や放置された遺体、またその周辺がどれだけ危険かが
わかった。大量の害虫、腐敗臭、病原菌、細菌それに熱中症と
常に危険と隣り合わせで、特殊清掃人はハウスクリーニングしている。
人が亡くなり放置されると、病原菌や害虫の餌食になり、
その人自身やその周辺が特殊清掃人の脅威になる。
生きていると人は感染症などの病気のあって怖いが、それ以上に
亡くなり放置された人がやっかいなことになるのがもっと怖い。

誰にも発見されず、一人で亡くなるのは寂しい。でも一人暮らしを
していれば、誰でもその可能性がある。それは都会でも田舎でも
確率は変わらない。
孤独死を回避するには他の人と連絡を取り合うということが
大事なんだと改めて思った。
家族や友達、仕事での仲間、近所の人。距離や気持ちが近すぎて
面倒な時もあるけれど、それでも自分が困ったときに助けてくれる
誰かがいるというのは心強い。

一番印象に残ったのが「三 絶望と希望」だ。作曲の著作権がらみの
話だが、最後はいい方向に話が終わってよかった。特殊清掃が
ドロドロでグロイ表現が多かったので、話自体が良い方向に
終わると少しほっとする。
他の話は全部ではないが人間の欲望やエゴがむき出しになっていたりして
特殊清掃と同じくドロドロで人間の汚いところがシンクロする。
でも特殊清掃をやれば、部屋はきれいになるけれど、人が改心しない限り
きれいにならない。おまけに人の心がきれいになったかどうかは
目に見えないのだから、確認しようがない。
人の心も目で見えるようになれば、分かりやすく、めんどくさいことに
ならないのにと思ってしまう。

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