「白の闇」

みんなが見えなくなったら

内容
赤信号で止まっていた車の運転手が突然目が見えなくなった。
その運転手に関わった人々は次々に目が見えなくなった。

感想
”突然目が見えなくなった”ということはどういうことが起こるか。
耳でもなく、突然死でもなく”突然目が見えなくなった”だ。
この”突然目が見えなくなった”がみんなに感染してそこの地域だけではなく
国中がそうなってしまったら、ライフラインは途切れ、治安は崩壊し、
食べ物はなくなり、今までの普通の生活ができなくなる。
みんなが”突然目が見えなくなった”ならこういうことになるのかと考えさせられた。
それではもし”突然目が見えなくなった”ら今までの生活に近いぐらいの水準まで保つにはどうしたらいいのだろう。コロナの時でさえ今までの生活が一変して
マスクが必須になったり、不要不急の外出がしないでと言われたり、
人との接触をほとんどしないようになったりした。今はだいぶ緩和されたが
それでもマスクをいまだに外せない。
初めから目が見えない人々なら、目の見えない生活の仕方があるし、その生活を
うまくできるように工夫する。だがこの小説のように突然となると
どうしていいかわからなくなる。この小説のように使われていない精神病院へ
(ただ広い場所が空いているからという理由で)
隔離して放置するということは良いやり方ではないのが分かる。
隔離するにしても目が見えない人のために手すりを付けたり、上下水道を
使えるようにしたり、食事も温かいものを提供出来たりする準備をしてからでも
隔離すればよかったのにと思った。その時代背景もあるだろうが、
もっとなんとかなったのではないか。今の時代だったら防護服なり、
感染を防止するために何をするかを考えられるのではないか。
小説の中とはいえ、”たられば”がつい多くなってしまう。

目医者の妻だけが”突然目が見えなくなった”感染症からずっと罹らなかった。
それが不思議でなぜ罹らなかったのか。国の研究機関などで調べてもらえれば
感染症の原因の手掛かりになるのではと思わずにはいられなかった。
夫の目医者もそういうことには気が付かなかったのだろうか。

この小説では会話にかぎかっこがない。会話でかぎかっこがなかったら
読みにくいかもと思っていたが、まったくそういうことはなかった。
なぜ会話の時にかぎかっこがついているのかと考えることがあって、
それは読む人にとって読みやすい、理解しやすいと思っていたが、
かぎかっこがなくても読みやすいし理解もできる。
学校で習ったことが当たり前だと思っていて、その意味を考えることを
してなかった。ずっと固定観念に縛られていたのだ。
他の人が変なことをして、私は変だなと思っていることでも、本当は当人しか
分からない意味があるのではないか。変なことをすべて否定する前に
当人しかわからない意味をさぐるのもいいかも。
逆に他の人からみたら私が変なことをしても、私にとっては意味があることが
あるかもしれないのでそこまで考慮してくれると嬉しい。なかなかそんな人はいないが。

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