「この国の危機管理 失敗の本質 ドキュメンタリー・ケーススタディ」

この国はどうすれば、できるだけリスクを回避できるか
この国のこれからのあり方を考える。

内容
コロナ、巨大津波、原発事故、災害多発はどうしてこんなパンデミックや
大事故が起こってしまったのか。回避できることはなかったのか。

感想
コロナの名前が聞こえだした頃、クルーズ船でもコロナが出たとして
厚労省が船内に入り、検査や検疫をしているのをテレビで見ていた。
患者と接触する人は防護服を着ていたがその他の事務作業とかの人は
マスクと手袋をつけているだけだった。その姿を見て、未知のウイルスに
対してマスクと手袋の対応は大丈夫なのかな?と心配になったし、感染が
広がるのではと思った。
私は医療関係者でもなく医学にも詳しくはない。けれどその前の情報で中国で
爆発的に広まって死者も出ている。未知のウイルスで症状も感染の強さも
わからない。でもマスクと手袋だけで船内に入ったりするのは厚生労働省の人たちが
ウイルスに対して無知だからなのか。サーズウイルスは騒がれるほど日本に入って
来なかったから大丈夫と思うのか。そこらへんはわからないが日本の平和ボケならず
ウイルスぼけなのか。
”危機管理 ドイツの先見の明”の中「のリスク分析報告書2012」で
世界規模の感染を引き起こすには、最初は極端に少ない症例でも事足りる”
まさにコロナウイルスだと思った。
それともう一つ気になったのは今でこそ抗原検査キットなどがあるが少し前まではPCR検査の機器が少ないから検査ができないと言っていたが大学病院にはPCR検査機器はあるし大学病院側も要請があったら協力するとテレビで答えていたのが印象的でなぜ要請しなかったのか気になる。もしあの時に全国の大学病院に要請していたら爆発的な感染もなかったのではと感じる。

小学生のころ原爆のことを教えられた。投下された広島や長崎でどんなことが
起こったかを昔からある漫画「はだしのゲン」を読んで衝撃的で心に残った。
そのことがあるから私は原爆イコール原子力(イコールではないかもしれないが)だ。
だから子供の時からこんな危険なものをなぜ推進したり、作ったりするのだろうと
不思議に思っていた。もし事故でも起きたら放射能汚染で白血病になったり、病気になったりしているのはわかっている。でもこの本を読んでわかったことは原子力発電所を推進する人や作る人は事故は絶対に起こらないと思っている。一号機がだめなら他の号機でなんとかできるという考えがあること自体唖然とする。世の中絶対なんてことはないし
リスク管理はさまざまな角度から考えなければならないのにそれができてないのは
人災と呼んでもいいと思う。人の命や生活がかかっているのに、会社、設計、製造、その中で働く人がその程度の考え方では福島の人たちには言葉では言い表せないほど辛いと思う。

本書の英国ジェームズ・リーズン教授の「事故防止のスライスチーズモデル」は事故になる要因がわかる。抜粋すると
”安全なシステムを作るには、まず政府、規制機関のフェーズ、企業(メーカー、運用会社)の経営判断と設計のフェーズ、組織の運用・管理のフェーズ、現場のリーダー、運転員、整備・点検技術・作業員のフェーズという各階層を、それぞれスライスしたスイスチーズ一枚ずつにたとえて、将棋倒しのように立てて並べる。スイスチーズにはいくつも穴が開いている。穴の一つ一つは、安全に関する法規や審査の不備・見逃し、経営・運用上の判断の失敗、設計上の欠陥、マニュアルの欠陥、現場の作業管理・教育訓練の失敗、現場の運転・整備・点検のヒューマンエラーなどが潜在することを示すものだ。
(省略)そうした穴の多いシステムの場合(中略)スイスチーズの穴はストレートに貫通して、大きな事故が発生してしまう”
このことを読んでいて、3歳の女の子がバスに取り残されて熱中症で亡くなったのを思い出した。もし運転手が子供の点呼をしていたら、見回りしていたら、幼稚園の先生が子供の点呼をしていたら、保護者に確認していたら。3歳の女の子は亡くならなかった。そのことを
思うと残念でならない。

自然災害や事故はなくならない。しかしそれを最小限にする、リスク管理、危機管理をもっと皆が真剣に考えるときに来ていると思う。

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