「本心」を読んで

昔、平野啓一郎の本を少し読んだが表現や文章を理解するのが
出来なくて途中で読むのをやめてしまった。
だが、最近になって新聞で平野啓一郎とどこかの僧侶との対談をしている
記事の中で”いじめで自殺してしまうのはもったいない。いじめがあったそれ以外の
家族やその他の友達との関係やそれまで築いてきたことをすべてなくなってしまうのは
もったいない。”(多分そんな内容だったと思っているが)と書いてあったことが
面白い考え方をしてる人だなと思ってまた読んでみることにした。

偏見かもしれないが(あくまでも一般論)母子家庭、特に子供が男の子の場合は
母子の関係が傍から見ていて独特の雰囲気を醸し出している。
お互い共依存で結びつきが強い。母親はいつまでも子供を思い、心配し
愛情を注ぎ続けている。子供は子供でいつまでもお母さんがいないと何もできないし
いつでもお母さんが優先で子供もお母さんが”大好き”が抜けない。
いい意味では互いに思いあって、悪い意味では親離れ子離れができずその人が
いないと何もできなくなっている。人間的に成長がない。

これらのことを思うと主人公の朔也は最後は母親がいなくても
目標を持ち、人間的成長ができたが、結局母親は自由死を選んだのは(亡くなったのは
事故だったが)将来の金銭的懸念や朔也に亡くなるときに看取って欲しいという気持ちからだが、この理由だけでも母親は子離れできてなかったのだと思う。
母親の本心は描かれてなくて想像でしかないのだが、朔也を大切に、大事に
愛情深く思っているとは思うが最後まで朔也に頼りきりで子離れが出来ていない状態だったのではないか。

読み始めてやっぱりこれは読むのに時間がかかりそうだった。言い回しや表現が考えないと
理解できない時が多い。それでも読んでいるうちに、この表現や言い回しじゃないと
読者に細やかに伝わらないのではないのかと思った。
朔也が他の人から見てめんどくさい厄介な自分の考えをいかにも正当化するために自分の考えにつじつまをあわせたり、他人の意見を聞こうとしなかったり
することがすごく伝わった。私にもめんどくさい厄介な考え方をするので朔也には
共感できた。

内容はおもしろかったのでまた読みたいが時間がじっくりあるときじゃないと
読めない気がする。

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